目次と今月の作品


2020年春季号 NO.259
〈MICROSCOPIC&MACROSCOPIC〉
令和に思う  菊地 葩 
〈30首詠〉  堀江良子
〈15首詠〉  牧口靜江・赤石美穂
       小原起久子・相良 峻
山下和夫の歌 『埴』1981年1月号より
〈作品Ⅰ㋑〉 宮澤 燁・若山節子・森たま江  ほか
〈作品Ⅰ㋺〉 元井弘幸・茂木タケ
       石井恵美子 ほか
〈作品Ⅰ㋩〉 菊池悦子・﨑田ユミ・佐藤香林  ほか
ONE MORE ROOM  
 山下和夫著 『現代短歌作品解析Ⅲより 22
       【知と情との交差】
山下和夫の歌62  小原起久子
短歌の作り方覚書 
  「ここ」と「そこ」について
          堀江良子
第20回プログレス賞受賞作品
          宮崎 弘
 同 作品評     宮澤 燁
 同 作品評     佐藤真理子
まほろば集      
  小菅喜代子・藤巻みや子
一首鑑賞     
  板垣志津子・小原起久子
〈作品Ⅱ〉石田春子・大川紀美枝
     久保田三重子・小曾根昌子
     清水静子 ほか
〈会友〉 高橋眞佐江・中山幸枝
     牧野八重子 ほか
〈題詠〉正月
〈特集〉女歌について 
    女歌の責務    元井弘幸
    多彩化する女歌  宮崎 弘
玉葉和歌集(抄)8     時緒翔子
『炎の女たち』古代編(32) 山下和夫著
ESSAY うた此頃     小曾根昌子
    短歌の道へ    川西冨佐子
  知っているようで知らない日本語の語源
             小原起久子
お知らせ
報 告 群馬ペンクラブ長期活動団体表彰
             小原起久子
9月号作品評
 作品Ⅰ評     江原幸子
 15首詠・月集評 佐藤和子
 作品Ⅱ・題詠評  石川ひろ
ばうんど
編集後記
表紙絵 若山節子

会員作品(抄) 
 ふりがなは作者による。原文はルビ形式。
【30首詠】
さながらに地上の銀河 夏の夜に池のほとり
の青き蛍火             堀江良子

【15首詠】
勾玉のかたちに眠る夫の背刺は隠してときに
は擦る               牧口靜江
はるかなる難民にあらずネモフィラの空への道に
途切れざる列            赤石美穂
あなたの不在に慣れゆく不思議 いまだ難民と
呼ばざれるまま           小原起久子
かそかにも炎(ほむら)立ちたりかそかなる
ままにせんとて灰搔き寄せる     相良 峻
【山下和夫の歌】 1981年『埴』1月号より
たそがれ かわたれとどこおりなく川はゆき
ふいにしろがねの鬢映すなり      山下和夫
いち早く昏れゆくなれば溜り日の束の間温き
野の窪にいる              同

【作品Ⅰ㋑】
ホイホイ入ればホイホイ死ねる「ごきぶりホイ
ホイ」本意本意(ほいほい)あがなう  宮澤 燁
反故にする歌かすかなる声立てる春の夕べの吾
を見ながら              若山節子
平穏の日々に無かりし杖の音足萎えの夫の寂
(さび)のこもれる         森 たま江
八月の朝の静けさ窓開けて六日、九日の空を
思えり                宮崎 弘
蓮の花の写真展に桃色のまあるい時間が弾んで
います                佐藤和子
透明のコップの水滴に映りいる吾が歪な吾を
みている               江原幸子
廃屋の庭に溢れる黄の小菊ありし日の家族集える
ごとく                石川ひろ

【作品Ⅰ㋺】
九十まで生きるつもりのリフォームに死神たちの
毎夜集うや              元井弘幸
硝煙のにおいがするよこれの世に戰争の日々よみ
がえりくる             茂木タケ
逆転のピンチヒッター敢晴(かんせい)と親の
名付けたる児がボックスに立つ   石井恵美子
クーラーに閉ざしたる窓お囃子と花火の音を聞き
のがしたり             西村英子

【作品Ⅰ㋩】
のっそりとわが庭を行くボス猫を投げたき焼けた
トタン屋根の上           菊池悦子
元号は令和となりし朝五時の風清々(すがすが)
しはだけし胸に             﨑田ユミ
葉洩れ陽にかりがね草の小花揺れ鳥渡るらむ大空
のはて               佐藤香林
九十二の伯母への手紙百枚目青空泳ぐ鯉のぼり
描く               佐藤真理子
玉砂利の道に仰げる伊勢神宮の大杉妹背の恋歌
ひそめむ             反町光子
反抗せしひとり娘も葬儀には心配りし伯父も泣き
しや                坪井 功
予備校の庭にびっしり銀輪が真夏の光きらきら
返す                萩原教子
闇の中虫の鳴く声絶えだえと令和の秋においとま
の気配             みたけもも
背なまるめ坂道下る足裏(あなうら)に荒草踏み
つけ姿勢正せり           茂木惠二
新しくもらひたるめだか元気にて止まることなく
泳ぎ続ける             天田勝元
台風はやうやく去りて餌あさる野猫をにぶく
照らす立待            板垣志津子
摺らんかな 忘れ草の橙紅(とうこう)を誰も
知らないこの白布に        藤巻みや子
何の為に生まれて来たのか小さき蟻よ目に付く度に
指につぶせり              伊藤由美子
夏祭り 酒にほどけてするすると〈だんべー
踊り〉の輪の中に入る        今井五郎
ローソクの戦争の明かり暗くしてソーラーランプ
の光り明るし           大場ヤス子
【第20回プログレス賞】「遺影一枚」(全30首)
                  宮崎 弘
断崖に立つ一本の松見上げわが晩年の年あらた
まる                宮崎 弘
眉月に金星寄り添うむつびづき今宵とっときの
極上を酌む              同
【まほろば集】
小箱より出てきたチビた鉛筆を捨てられもせず
今日も削りぬ           小菅喜代子
公園の桂は雌雄異株にして散って初めて一緒に
なります             藤巻みや子
【作品Ⅱ】
山峡の蛍の里に招かれて源氏と平家吾が手に
乗せる               石田春子
令和の代を共に迎えし学友も髪白くしてそれぞれ
の春               大川紀美枝
夜の海工業地帯を逆さまに映して日本の現代アート
                 久保田三重子
かすかなる音に映れる遠花火山下清が浮かんで
消えた               小曾根昌子
靴下とズボンのあはひに黒南風のひんやり吹けり人
の去ぬ塚               清水静子

【会友】
ミクロンの板を歯間に差し入れて医師得意げに隙間
を語る                井出尭之
五歳児の啜り泣きし映画館ハンカチ渡しそっと肩を
抱き                 今井洋一
山名宮の茅の輪くぐりて夏祓い終え山上碑へ通じる
道ゆく               川西冨佐子
風邪ひきの幼き孫はユーチューブに
「アンパンマン」を日がな見ている  髙橋眞砂江
敬老の日「古希はまだまだ子供だ」と米寿うなづき
傘寿は笑ふ              土屋明美
曇天の日ばかり続きトマト茄子を見るにつけても夏
の陽恋し               中山幸枝
父の連れに選ばれチャンバラ映画観き五歳(いつつ)
の吾はアイスが目当て         牧野八重子

【題詠「正月」】
父母と幼(おさな)の我と姉弟(きょうだい)と
祝いし正月もおぼろやおぼろ     矢島由美子
元旦を車酔いの子ら歩かせる御節を作り待つ義母の
元へ                佐藤真理子
ご来光じっと待つこと一時間赤城の空の星拾いつつ
                   今井五郎
蚕飼ふ里の正月霜枯れの桑園からか風抜けるのみ
                  板垣志津子
正月に白き秩父嶺を眺めるたび心機一転深く息する
                   坪井 功
正月の家族四人のいやさかの那古山潮音台の和泉
式部供養塚             大場ヤス子
赤城山の裾野はろばろ新春の影を歩ます広瀬の
ほとり               宮澤  燁
むらさきの残菊一本倒れつつ歳晩の庭に命をつなぐ
                  森 たま江
満ち足りることの険しさ家族合せカルタに知れり
わが一生               若山節子
長髄彦(ながすねひこ)が提げ来る重箱外国
(とっくに)の海幸山幸(うみさちやまさち)を
隅まで詰めて            小原起久子

 


 















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