2024年冬季号 NO.278号
〈MICROSCOPIC&MACROSCOPIC
ことばとリズム 宮崎 弘
〈15首詠〉 佐藤真理子・﨑田ユミ・赤石美穂
〈山下和夫の歌〉 1996年『埴』10月号より
〈作品Ⅰ㋑〉 小原起久子・牧口靜江
江原幸子・ほか
〈作品Ⅰ㋺〉 相良 峻・石井恵美子
今井五郎・ほか
〈作品Ⅰ㋩〉 今井洋一・大場ヤス子
菊池悦子・ほか
一首鑑賞 藤巻みや子・萩原教子
ONE MORE ROOM 小原起久子
山下和夫著 『現代短歌作品解析Ⅲ』より
41【名詞止めの効用】
〈作品Ⅱ〉 小曽根昌子・渡邊香子
〈会友〉 井出堯之・大川紀美枝
板垣志津子・ほか
〈まほろば集〉天田勝元・茂木惠二
短歌の作り方覚書 26
形容詞の使い方 堀江良子
ESSAY つれづれに
板垣志津子
一首鑑賞 矢島由美子・佐藤香林
〈題詠〉足・脚
今井五郎・反町光子・菊池悦子
﨑田ユミ・板垣志津子・大場ヤス子
渡邊香子
玉葉和歌集(抄)27 時緒翔子
50周年記念号のお知らせ
ESSAY 群馬音楽センター
小原起久子
夏季号作品評
作品Ⅰ評 相良 峻
15首詠・まほろば集評 元井弘幸
作品Ⅱ・題詠評 矢島由美子
ばうんど
新刊紹介
編集後記
表紙絵 山下和夫
会員作品(抄)
ふりがなは作者による。原文はルビ形式。
【15首詠】
「アエイウエオアオ」口の運動いつの日か喃語の孫と
しりとり遊び 佐藤真理子
一本の歯にパンケーキ食べている孫に明日の
われを思いぬ 同
わが裡に今もときめく鹿島槍岳(かしまやり)白銀抱くとき
木霊も抱く 﨑田ユミ
青空を突き上げて立つ赤松(まつ)の尖り眩しき木霊と
太古の波動 同
散り敷きし花びら風にころころと地表を舞台に
終を華やぐ 赤石美穂
花衣着けてうらうら行くわれを無視し過ぎゆく
若き喧騒 同
【山下和夫の歌】 1996年『埴』10月号より
托卵の鳥渡り来て溶岩(ラボ)の天 虚(いつわ)らば
己あざむかんまで 山下和夫
虐げられきしかば曰(いわ)く無き者らを声援していたり
オリンピックにも 同
【作品Ⅰ㋑】
幸不幸境かすませ黄砂降るミサイルも降る
アラートも降る 小原起久子
欲もなく希みも持たぬわれに棲む人を羨む
性(さが)がときどき 牧口靜江
満開の芍薬今朝を散り始む落ちゆくもなお
濃く美しき 江原幸子
奔放にどこまでも生きる役割を突然終えた
子猫ムーちゃん 宮崎 弘
虫の声やみて虚空にたたずめば千草枯れゆく
ひそかなる音 堀江良子
白く群れ咲くマーガレット一花の種運ばれしか
親戚のよう 佐藤和子
騒音となりたるテレビ消しおれば湯気のたつ音
雪の降る音 石川ひろ
蜂蜜色の薔薇の花束飾りいてまだ若い君笑う夢に
目覚める 元井弘幸
【作品Ⅰ㋺】
父母妻子住む国守りし特攻機フィリピン周辺
ふたたび波打つ 相良 峻
幼き日小鳥となりて啄みきおばあちゃんちの
赤きぐみの実 石井恵美子
三センチ背丈の縮み戸棚から土鍋出すとき
踏み台が要る 今井五郎
【作品Ⅰ㋩】
早緑の芽吹き小さなコシアブラ山の便りは
友より届く 今井洋一
チーバ君頭でっかち尻すぼみ房総半島に
地震なきよう 大場ヤス子
春の白き満天星に問う燃えるような秋の
記憶は残る今も 菊池悦子
老い人のぽつりぽつりと亡くなりて青葉風の径(みち)
人は急ぎぬ 佐藤香林
蓮池は道のどちらと尋ねれば両側にあると
汗ぬぐう人 清水静子
すらすらと庭の薔薇の名言いながらそそぐ紅茶の
香りやさしき 反町光子
ようやっと百日草咲き誇り仏壇に供え
手を合わせけり 坪井 功
迷い道曲がれば右に左にと河津桜が
紅揺らす 萩原教子
着せたかりしウェディングドレスのような白
亡き教え子へははつあきの供花(くげ)
藤巻みや子
【作品Ⅱ】
この夏も届かなかった蝉のこえ草引く指がすくう空蝉
小曾根信子
なにごとも芽ぶきはじめる 春 かがやける 夏
タワー美術館に三三五五の人
渡邊香子
【会友】
タレントのビール飲む演技試される酷暑を暮れる
ゴールデンタイム 井出堯之
風さそう若木のみどり山法師初めての花
てっぺんに白 大川紀美枝
「代用食という言葉はじめて聞きました」デイサービスの
介護士は五十代 板垣志津子
数多(あまた)なる春花あれど身を反らすアケビの
あずき色が一番 川西富佐子
迎盆はご先祖様が帰って来る待つてた月の
三日孝行 土屋明美
七月にかえり咲きたる一輪の鉄線の雄蕊
飽かず見つめる 中山幸枝
雪国に十二年目を数えも息(こ)は
銀世界を敵にまわせり 牧野八重子
【まほろば集】
肥やし場のかぼちゃの蔓が朝顔につるべとられし
千代女思わず 天田勝元
道路沿い赤く花咲く彼岸花過ぎ行く我を
見つめてゐたり 同
児の指差すペンペン草が茎ぐっと伸ばす
水得て日を得てこの春 茂木惠二
咳こみてししむらほてる夕まぐれ柿の新芽に
来い来い春よ 同
【題詠[足・脚]】
たっぷりと墨を含ませ小一の宿題の<足>
半紙(かみ)からはみ出 今井五郎
山芋のつるが脚立を這い上がり雲の羊をめざし泳げる
反町光子
振れ過ぎの振り子となる足鞍馬の上オリンピックの
金を目指して 菊池悦子
足癒えて散歩始めし文月の第一歩なる
何かが違う 﨑田ユミ
これが頼りと杖を見せあふ老いふたり暑さの午後を
木陰にいこふ 板垣志津子
雨の日の神宮外苑土を踏む脚絆(きゃはん)巻く足揃う
学徒出陣 大場ヤス子
親鴨は交通整理する道を子鴨引きつれかけ足で渡る
渡邊香子
〈MICROSCOPIC&MACROSCOPIC
ことばとリズム 宮崎 弘
〈15首詠〉 佐藤真理子・﨑田ユミ・赤石美穂
〈山下和夫の歌〉 1996年『埴』10月号より
〈作品Ⅰ㋑〉 小原起久子・牧口靜江
江原幸子・ほか
〈作品Ⅰ㋺〉 相良 峻・石井恵美子
今井五郎・ほか
〈作品Ⅰ㋩〉 今井洋一・大場ヤス子
菊池悦子・ほか
一首鑑賞 藤巻みや子・萩原教子
ONE MORE ROOM 小原起久子
山下和夫著 『現代短歌作品解析Ⅲ』より
41【名詞止めの効用】
〈作品Ⅱ〉 小曽根昌子・渡邊香子
〈会友〉 井出堯之・大川紀美枝
板垣志津子・ほか
〈まほろば集〉天田勝元・茂木惠二
短歌の作り方覚書 26
形容詞の使い方 堀江良子
ESSAY つれづれに
板垣志津子
一首鑑賞 矢島由美子・佐藤香林
〈題詠〉足・脚
今井五郎・反町光子・菊池悦子
﨑田ユミ・板垣志津子・大場ヤス子
渡邊香子
玉葉和歌集(抄)27 時緒翔子
50周年記念号のお知らせ
ESSAY 群馬音楽センター
小原起久子
夏季号作品評
作品Ⅰ評 相良 峻
15首詠・まほろば集評 元井弘幸
作品Ⅱ・題詠評 矢島由美子
ばうんど
新刊紹介
編集後記
表紙絵 山下和夫
会員作品(抄)
ふりがなは作者による。原文はルビ形式。
【15首詠】
「アエイウエオアオ」口の運動いつの日か喃語の孫と
しりとり遊び 佐藤真理子
一本の歯にパンケーキ食べている孫に明日の
われを思いぬ 同
わが裡に今もときめく鹿島槍岳(かしまやり)白銀抱くとき
木霊も抱く 﨑田ユミ
青空を突き上げて立つ赤松(まつ)の尖り眩しき木霊と
太古の波動 同
散り敷きし花びら風にころころと地表を舞台に
終を華やぐ 赤石美穂
花衣着けてうらうら行くわれを無視し過ぎゆく
若き喧騒 同
【山下和夫の歌】 1996年『埴』10月号より
托卵の鳥渡り来て溶岩(ラボ)の天 虚(いつわ)らば
己あざむかんまで 山下和夫
虐げられきしかば曰(いわ)く無き者らを声援していたり
オリンピックにも 同
【作品Ⅰ㋑】
幸不幸境かすませ黄砂降るミサイルも降る
アラートも降る 小原起久子
欲もなく希みも持たぬわれに棲む人を羨む
性(さが)がときどき 牧口靜江
満開の芍薬今朝を散り始む落ちゆくもなお
濃く美しき 江原幸子
奔放にどこまでも生きる役割を突然終えた
子猫ムーちゃん 宮崎 弘
虫の声やみて虚空にたたずめば千草枯れゆく
ひそかなる音 堀江良子
白く群れ咲くマーガレット一花の種運ばれしか
親戚のよう 佐藤和子
騒音となりたるテレビ消しおれば湯気のたつ音
雪の降る音 石川ひろ
蜂蜜色の薔薇の花束飾りいてまだ若い君笑う夢に
目覚める 元井弘幸
【作品Ⅰ㋺】
父母妻子住む国守りし特攻機フィリピン周辺
ふたたび波打つ 相良 峻
幼き日小鳥となりて啄みきおばあちゃんちの
赤きぐみの実 石井恵美子
三センチ背丈の縮み戸棚から土鍋出すとき
踏み台が要る 今井五郎
【作品Ⅰ㋩】
早緑の芽吹き小さなコシアブラ山の便りは
友より届く 今井洋一
チーバ君頭でっかち尻すぼみ房総半島に
地震なきよう 大場ヤス子
春の白き満天星に問う燃えるような秋の
記憶は残る今も 菊池悦子
老い人のぽつりぽつりと亡くなりて青葉風の径(みち)
人は急ぎぬ 佐藤香林
蓮池は道のどちらと尋ねれば両側にあると
汗ぬぐう人 清水静子
すらすらと庭の薔薇の名言いながらそそぐ紅茶の
香りやさしき 反町光子
ようやっと百日草咲き誇り仏壇に供え
手を合わせけり 坪井 功
迷い道曲がれば右に左にと河津桜が
紅揺らす 萩原教子
着せたかりしウェディングドレスのような白
亡き教え子へははつあきの供花(くげ)
藤巻みや子
【作品Ⅱ】
この夏も届かなかった蝉のこえ草引く指がすくう空蝉
小曾根信子
なにごとも芽ぶきはじめる 春 かがやける 夏
タワー美術館に三三五五の人
渡邊香子
【会友】
タレントのビール飲む演技試される酷暑を暮れる
ゴールデンタイム 井出堯之
風さそう若木のみどり山法師初めての花
てっぺんに白 大川紀美枝
「代用食という言葉はじめて聞きました」デイサービスの
介護士は五十代 板垣志津子
数多(あまた)なる春花あれど身を反らすアケビの
あずき色が一番 川西富佐子
迎盆はご先祖様が帰って来る待つてた月の
三日孝行 土屋明美
七月にかえり咲きたる一輪の鉄線の雄蕊
飽かず見つめる 中山幸枝
雪国に十二年目を数えも息(こ)は
銀世界を敵にまわせり 牧野八重子
【まほろば集】
肥やし場のかぼちゃの蔓が朝顔につるべとられし
千代女思わず 天田勝元
道路沿い赤く花咲く彼岸花過ぎ行く我を
見つめてゐたり 同
児の指差すペンペン草が茎ぐっと伸ばす
水得て日を得てこの春 茂木惠二
咳こみてししむらほてる夕まぐれ柿の新芽に
来い来い春よ 同
【題詠[足・脚]】
たっぷりと墨を含ませ小一の宿題の<足>
半紙(かみ)からはみ出 今井五郎
山芋のつるが脚立を這い上がり雲の羊をめざし泳げる
反町光子
振れ過ぎの振り子となる足鞍馬の上オリンピックの
金を目指して 菊池悦子
足癒えて散歩始めし文月の第一歩なる
何かが違う 﨑田ユミ
これが頼りと杖を見せあふ老いふたり暑さの午後を
木陰にいこふ 板垣志津子
雨の日の神宮外苑土を踏む脚絆(きゃはん)巻く足揃う
学徒出陣 大場ヤス子
親鴨は交通整理する道を子鴨引きつれかけ足で渡る
渡邊香子